
いつもながらの住居にて。
いつもながらの住居。いつもながらのサンディエゴ。いつもながらの職場。いつもながらの生活。
思えば、もう、16年間も、サンディエゴに住んでいる。2008年に、初めて、やって来た時には、とてつもない、大都会に見えた。
無理もない。それまで住んでいたのが、コルテズという、コロラドのド田舎の、小さな小さな町だったから。その町にも、周辺地域にも、高速道路なんか、全然、走っていなかった。電車も、ない。高いビルディングも、ない。マア、「何もない」という表現が、まさに、ピッタリの、ロッキー山脈に四方を囲まれた、田舎町だった。
それが、事情あって、突然、サンディエゴに移って来た。今から考えれば、メチャクチャな話だった。何のあてもなく、車に荷物を、積めるだけ積み込んで、やって来た。妻と、僕と、犬一匹で。
当時は、スマート・フォーンなどというものは、なかったのか、それとも、単に、僕と妻が、知らなかっただけなのか、とにかく、今は、当たり前に使っている、スマートフォーンの、いわゆる、「カーナビ」を使ってではなく、サンディエゴまでのルートを、全部、コンピューターの画面上から、紙に書き写して、それを頼りに、車を走らせ、道を間違えては、修正し、また間違えては、また修正して、サンディエゴに向かった。そして、やがて、夜になり、すっかり暗くなった頃、サンディエゴに到着したが、そこで、メキシコの友人達と落ち合い、その足で、そのまま、メキシコへ。それから、2週間ほどは、その、メキシコの友人達の家で過ごした。サンディエゴは、初めてだったが、メキシコも、初めてだった。それから、改めて、サンディエゴに戻って、生活が始まった。
貯金も、たっぷり….というほどには、ない。仕事も、ない。頼れる相手も、助けになるあてもない。
とりあえず、妻が、訪問介護の仕事を見つけて、始めた。僕の仕事は、なかなか、見つからなかった。4ヶ月ほど経って、やっと、仕事が見つかり、奇妙な事には、それに続いて、もうひとつ、見つかった。それまで、4ヶ月も、どれだけ熱心に、毎日探しても、ひとつも、見つからなかったのに、突然、ふたつも、連続で、見つかってしまった。ちなみに、そのふたつの仕事は、両立できたので、その、両方の仕事に就いた。
それから、16年。何とか、やって来た….という感じだ。それでも、何とか、やって来られたのが、不思議な位だ。16年間、実地の学びの、連続だった。何かを学んでは、学んだばかりの事を、すぐに使う。その、繰り返しで、少しずつ、生き方を覚えて、成長していった。つらかったし、大変だったし、もう一度、その年月を通りたいとは思わないが、勉強になり、身になった、16年間だった。コロラドで、のんびりと暮らしていた時には、そうやって、死ぬまで、その土地で、妻と生活していければ、それで、幸せだ….と思っていたし、そうなるのだ….とも、思っていたのだが、それが、完全に、変わってしまった。でも、それは、それでいいと思う。
来年からは、日本に移って、というか、日本に戻って、妻と一緒に暮らし続ける事を、計画している。そうなれば、すべてが、またまた、ガラリと変わるだろう。
いつもながらの、今現在の住居。いつもながらの、サンディエゴ。いつもながらの、今現在の職場。すべてが、いつもながらの生活。
それらも、みな、すべて、過去の事になり、今現在の生活を、懐かしく、思い出す様になるだろう。

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