ルー・リード

ルー・リード。

自分にとって、シンガー/ギタリスト/ソングライターである、ルー・リードの影響は、大きい。いや、大きいなんてもんじゃあない。巨大だ。

彼の歌を、初めて聴いたのは、高校2年生の時。ラジオで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの“Heroin”が、他の、多くのバンド/アーティスト達の、多くの曲に混じって、単発で、かかった。それが、印象に残って、のちに、ファーストアルバムを、買って、聴いた。聴く度に、何とも、不思議な雰囲気に、包まれた。他の、どんなバンド、どんなアーティストの音楽にもない、落ち着いた雰囲気。ゆったりとした、諦観とも、客観とも取れる様な、誰をも特別扱いせず、誰をも拒まない、包容力のある、空気。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、アッという間に、自分の、お気に入りのアーティスト/バンドになり、その、ファーストアルバムに続いて、そんなに多くは録音されなかった、彼らのアルバムを、1枚、そして、又、1枚と、買っては、聴き、聴くごとに、ますます、好きになっていった。バンドのリーダーであり、すでに書いた様に、シンガー/ギタリスト/ソングライターである、ルー・リードには、特に、魅かれていって、彼の、ソロ・アルバムも、聴いた。それから、40年以上も経った今、自分は、アメリカに住んでいる。場所は、サンディエゴだ。

もう、18年も、住んでいる。こうして、アメリカに住んで、アメリカ人である、ルー・リードの歌を聴くと、彼が、どんな思いで歌い、音楽をつくって来たのかが、肌で、わかる。日本から、アメリカに、生活の拠点を移したのは、自分にとって、大きな変化であり、大事件だったのだが、そんな中でも、ルー・リードの歌は、その重みが、深まりはしても、その、人間、ひとりひとりの個人に対する、あたたかさ、落ち着いた、静かな視点が、変わる事もなく、大きな支え、励ましとなってくれたし、今も、なっている。2年目に、彼が、病気で、死んでしまった事は、今、思い出しても、涙が出るほど、悲しい。確かに、変わった人だった。”The Most Peculiar Man(あんなに変わった人はいない)”というタイトルの歌が、あの、サイモン&ガーファンクルの歌に、あるが、まさに、その、The Most Peculiar Manが、ルー・リードだったと思う。

彼の歌を、初めて聴いた、あの、高校生の時代から、今になるまで、アマチュアのミュージシャンとして、ある時は、聴衆に向かって、又、ある時は、聴く者もいないまま、楽器を演奏しながら、歌い続けて来たが、そんな中で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲、”I’ll Be Your Mirror”は、日本でも、アメリカでも、これまで、何百回、歌って来たか、わからない。すでに書いた、彼らのレコード(ファーストアルバム)を、初めて聴いた時から、ずっと、好きな歌であり、そして、今でも、大好きな歌だ。思うに、この歌は、もっとも、ルー・リードらしい歌の、ひとつだと思う。彼は、死んでしまったが、今でも、自分の心の中に、生きている。

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