世界一いいかげんなおじいさんと、世界一いいかげんなおばあさんの、世界一いいかげんな話 (特別出演あり).

世界一いいかげんなおじいさんと、世界一いいかげんなおばあさんの、世界一いいかげんな話(今回の特別出演は、何と、ふたつの顔を持つ、ふたりの男)。

いいかげんなおじいさんが、光のスピードで歩いて、宇宙の果てで、「宇宙の果て」ビールを飲み、「宇宙の果て」枝豆を食べた後、ふとんを敷いて、寝てしまった….。

「いいかげんなおじいさん」の、前回のお話は、ここまでだったネ。

宇宙の果てで、ふとんを敷いて、寝てしまったおじいさんが、目を覚まして、起きて見ると、とっくに、昼過ぎになっていて、いいかげんなおじいさん最愛の、いいかげんなおばあさんが、家の中の片づけをしていた。「あれっ?オレ、宇宙の果てに来たんじゃなかったっけ?おばあさん、何で、ここにいるんだ?」「何言ってるのヨ、おじいさん。おじいさんが、何も言わずに、突然、どこかに行っちゃったから、お隣りの吉田さんが心配して、車に乗せて下さって、ここまで来たのよ」。

ふたりが今いる、宇宙の果ての家は、「帝国ホテル」を設計した、フランク・ロイド・ライトの設計によるもので、そのマネージャーは、「ふたつの顔を持つ男」、牛山敬太郎だった。彼は、マジンガーZの「アシュラ男爵」とは友達同士で、よく、渋谷に、一緒に飲みに行っていた。ビール一杯で、つまみを頼まないで、延々とおしゃべりをして、長居するので、居酒屋の方では、いつも、迷惑していた。ついでながら、この、牛山さんの実家は、千葉県の松戸にあって、大きな、和式の屋敷だった。家具が、一式あったが、全部、風呂敷に包んで、しまってあった。

「おじいさん、お腹が空いたから、ご飯を食べに行きましょうヨ」と、おばあさんに言われて、おじいさんは、おばあさんを連れて、吉野家・宇宙の果て店舗に、行く事にした。ふたりは、吉野家で、牛丼をふたつ、「つゆだく」で頼み、牛丼の上に、紅しょうがを盛りだくさんにして、食べた。

「ビールも、一本、頼むか」と、おじいさんは言って、ビールを一本、注文した。すると、そこに、「ふたつの顔を持つ男」牛山敬太郎と、アシュラ男爵もやって来て、吉野家・宇宙の果て店舗の店員さん達は、あからさまに、イヤな顔をしたが、そんな事を気にかける、牛山と、アシュラ男爵ではなかった。ふたりは、いいかげんなおじいさんと、いいかげんなおばあさんの、向かいのテーブルに席を取り、ビール一本だけを頼んで、家のネコが、卵を産んだ話とか、自転車で、山手線の電車を追い越した自慢話とか、本当かどうかもわからず、本当であってもなくてもどうでもいい話で盛り上がって、えんえんと、閉店時間まで、しゃべり続けた。時間を忘れて、しゃべり続けたので、終電が、なくなってしまった。仕方なく、いいかげんなおじいさんと、いいかげんなおばあさん、牛山敬太郎、そして、アシュラ男爵は、千葉県の松戸にある、牛山の実家まで、4人で歩く事にした。4人とは言っても、牛山と、アシュラ男爵は、どちらも、顔がふたつあるので、相変わらず、くだらない事を延々としゃべりながら歩いていると、計・6人がおしゃべりしている様なもので、「ウルサイ!今、何時だと思っているんだ!」と、ガラッと開いた、家々の窓から、怒鳴りつけられたが、そんな事を気にかける、4人ではなかった。そうやって、いいかげんな4人が、いいかげんに歩いていると、いつしか、道を間違えて、気がついたら、銀座・高島屋の前にいた。4人は、「もう、遅いから、今夜は、ここで野宿だ!」と、お互いに言って、銀座の大通りで、キャンプファイアーを焚いて、どこからか持って来たギターで、フォーク・ソングを、みんなで歌う……つもりだったのだが、持って来たギターが、フォーク・ギターではなくて、エレキギターだったので、4人で、へヴィー・メタルを歌って、朝まで過ごした。「おばあさん、AC/DCの歌がプロ並みだナ」と、おじいさんがほめると、「マアマア、お世辞が上手だこと。そういうおじいさんこそ、相変わらず、モーター・ヘッドと、スコーピオンズの歌が、最高だわネ」と、返した。

そうやって、ひと晩中、歌い明かして、朝には、歌い疲れて、寝てしまった。銀座の大通りの、ド真ん中で、大の字になって、寝てしまったので、モロに、交通の邪魔になって、しかも、4人のイビキがウルサくて、非難ごうごう。せっかくの、銀座名物・歩行者天国が、歩行者天国ならぬ、歩行者地獄になってしまったが、そんな事を、気にかける4人ではなく、平気で、昼過ぎまで寝ていた。そして、やっと、路上から起き上がったので、「アア、これで、いつも通りの銀座に戻ってくれる」と人々が思ったのも束の間、昨夜のエレキギターを使って、ひとしきり、路上ライブ。人々が、怒り心頭に達し、にらみつける、その顔をヨソに、「おばあさん、今日のライブのヴォーカルは、最高だったナ」「イエ、そう言うおじいさんこそ、ギター・ソロが、ジミヘン並みで、イカしていたワ」と、互いに、コテで塗る様に、見え透いたお世辞を、ベタベタと塗りつけ合って、笑い合っていた。そして、それをヨソに、牛山敬太郎と、アシュラ男爵は、“昨日の夜に、「吉野家」で食べた牛丼は、ご飯の炊き加減が、柔らか過ぎた”とか、“この前、会社から、タクシーで、夜遅く家に帰ったら、家の前に到着した途端に、メーターが上がって、料金が加算されて、いまいましい思いをした”とか、相変わらず、次元の低いおしゃべりに、夢中になっていた。

それから、4人は、高島屋・銀座本店で、ショッピングをして、(ほとんど、ウインドウ・ショッピングだけだったが)、夕方には、最上階にある、ファミリー・レストランで、優雅に、食事をした。窓の外に見える、銀座の大通りの夜景が、きれいだった。ドけちの、牛山敬太郎と、牛山に勝るとも劣らない、同じく、ドけちのアシュラ男爵は、例によって、ビール一本だけを頼んで、閉店まで粘ろうとしたが、おばあさんにカッコいいところを見せようとして、おじいさんが、「ウーン、オレ、太っ腹!みんな、これで、好きなものを食え!」と言いながら、五千円札を出して、テーブルの上に置いたので、牛山は、大好物の、エビフライ定食を頼み、アシュラ男爵は、「北海道直送・ホカホカジャガイモの肉じゃが」を頼んで、心ゆくまで、味わった。

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