世界一いいかげんなおじいさんの、世界一いいかげんな物語.

世界一いいかげんなおじいさんの、世界一いいかげんな物語.

ある日、いいかげんなおじいさんが、村の川沿いを歩いていると、川の中から、メダカが、「おじいさん、そんなに楽しそうに、散歩しているけれども、それ以上早く歩く事はできないでしょ?」と、挑発した。おじいさんは、「そんなのは、水かけ論だ!」と言い放って、メダカに、水をかけた。エラそうに、さも、わかった様な口をきいたおじいさんだったが、もちろん、おじいさん自身でも、自分が何を言っているのかなど、全然、知らなかった。おじいさんは、ただ、その前の晩にテレビを観て覚えた言葉を、意味もわからずに、いいかげんに使っているだけだった。その事をよく知っているメダカは、ムッとして、おじいさんに、水をかけ返し、そんな事をやっている内に、水かけ論ではなくて、ただの水のかけ合いになってしまった、おじいさんと、メダカだった。そして、メダカは、再び、おじいさんを挑発した。「こうなったら、論より証拠だ!おじいさん!さっき歩いていたより、もっと早く歩けるのならば、やって見せてご覧なさい!」

それに応えて、おじいさんは、「いや!証拠より、論だ!」と、再び、自分でも何を言っているのかわかっていない、いいかげんな事を口にして、メダカの挑戦を受けた。そして、もっと早く、より早く、さらに早く…..と、スピードを上げて、歩いている内に、いつしか、おじいさんは、光のスピードを超えて、光速で歩いていた。ビュンビュンと、飛ぶ様に通り過ぎてゆく、周囲の景色を見ても、何ごとにもいいかげんで、まともに、ちゃんと考える事を一切しないおじいさんは、「オオ、今日は、風が強いな。風邪でもひかん様に、厚着をせんとな」などと言って、自分が光速で歩いている事などには、全然気づかないままで、歩いていた。おじいさんの、余りのいいかげんさに、いつの間にか、おじいさんのポケットの中に入っていたネズミが、「おじいさん、そうじゃなくて、おじいさんは今、光速で歩いているんですよ」と教えたが、そもそも、「光速」という言葉を知らず、意味もわからないおじいさんは、「そうか、高速道路だったのか。道理で、車がビュンビュン走っているはずだ」などと、いいかげんな事を考えて、自分ひとりでうなずきながら、なおも、歩いていった。

やがて、宇宙の果てにたどり着くと、そこに、一軒の酒場があったので、おじいさんは、「アーア、ちょいとくたびれた。ここで、一杯飲んで、うまいものでもつまんで、ひと休みしよう」と言って、中に入り、とりあえず….という事で、「宇宙の果てビール」を一本頼んで、「宇宙の果て・枝豆」を食べてから、「面倒くさい。もう、ワシの話は、今回は、これでおしまいだ!」と言って、酒場であるにも関わらず、そこにふとんを敷いて、寝てしまった。なので、今回の話は、これでおしまい(笑)。

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