ビートルズは、好きだ。大好きだ。音楽が、断然、いい。そして、4人とも、抜群に魅力のある人間だ。人間だけで言えば、リンゴが一番好きだが、4人、みんな好きだ。さらには、人間が好き、という以上に、ジョン・レノンの精神性に、深く、魅かれる。この人は、どうして、日本的な雰囲気というものを上手につかんで、歌が書けるのだろう。一体、何故?ただの、イギリス人なのに。
中学生の時に、ラジオで、「ヘイ、ジュードゥ」を、聴いた。
”Hey,Jude,don’t make it bad,take a sad song,and make it better…..”今では、すっかり聴き慣れた、ポールの歌と、ピアノの伴奏のみでの、イントロ。それを、初めて聴いた。その瞬間、自分を取り巻く、世界の色が、変わった。そうとしか、言い様がなかった。それが、始まりだった。
ビートルズが、好きになった。なけなしの金で、LPも、間を置いて、一枚づつ買い、合計3枚、買った。でも、ほとんどの歌は、ラジオから、テープレコーダーで録音して、テープで聴いていた。
その頃は、完全に、ポールにシビレていた。英語が、まだ、わからなかったから、音楽的にだけ、聴かざるを得ない。そうすると、歌っている言葉がわからない人にも、音楽自体がわかりやすくて、親しみやすい名曲をたくさん歌ってくれるポールに、断然、意識が行った。あとの3人は、まあ、ポールのバック・アップ….とまではいかなくとも、ポールよりも、ランクが下の様に感じられた。
それから、しばらくして、同じ中学の仲間達と、ビートルズを演るバンドをつくった。僕の担当は、歌と、ハーモニカだった。どうして、シンガーになったのか、理由は、覚えていないが、もしかしたら、担当楽器がハーモニカになった理由と、同じだったかも知れない。当時の僕には、ビートルズの曲を演る為に、新しく楽器を買うお金なんか、全然、なかった。でも、ハーモニカは、新しく買わなくても、誰かのお古が、家にあった。歌も、楽器を買うお金がなくても、何も買わずに出来るから、それで、シンガーになったのかも知れない。余談になるが、不思議な事に、楽器が自由に買える様になった今でも、歌う事と、ハーモニカを吹く事が、一番、根強く残っている。理由は、歌う為には、何も持ち歩かなくてもいいし、ハーモニカだったら、ポケットに入れて、持ち運べるからだ。
さて、話を戻して、ビートルズ。
バンドをつくって、楽しくやっていたら、思いがけない事に、家の都合で、イギリスに住む事になった。イギリス生活そのものについては、このブログの、別の記事に、書いたので、読んで下さい。
イギリス生活で、英語がわかる様になればなるほど、意識のフォーカスが、ポールから、ジョンに、変わった。理由は簡単。歌詞だ。
ジョンの、言葉。ジョンの書く、歌詞。その、繊細さに、心打たれた。どうして、こんな歌詞が、書けるんだろう。この記事の冒頭でも、別の切り口で、多少、触れたが、この人の書く言葉というのは、次元を超えている。その、ジョンの書く言葉が、ジョンの書くメロディーとひとつになって、ジョンの歌になる。それは、「太陽と北風」の童話の、太陽の様だ。力づくで、不自然に盛り上げようとするのではなくて、暖かさと、優しさで、スーッと、自然に心に入って来て、感動させる。
“In My Life”の、歌詞の、一節。
それを、思い出すだけで、今、涙腺がうるんで、ベソをかきながら、この記事を書き続けている。
“(But of all these friends and lovers,)There is no one compares with you.”
There is no one compares with you……この一節が、どうして、こんなにも、僕を感動させ続けるのか。その理由は、わからない。
とにかく、そんな訳で、英語がわかる様になって、音楽的な意識のフォーカスは、それまで、ポールだったのが、ジョンに変わった。
英語を覚えて、ジョンの書く歌詞の深みがわかる様になった、イギリス生活から、日本に戻って、日本で数十年、暮らしたのちに、今度は、アメリカに移って、暮らし始めてから、20年近くなるが、ビートルズが好きで、ビートルズを歌うという事が、(日本人であり、東洋人である)自分にとっては、異文化である、このアメリカに住んでいて、どれほどに、大きな力になっているかは、測り知れない。ひと言で言うと、ビートルズの音楽というのは、文化の違いという壁を、楽々と越えて、人々の心をひとつにする力を持っているのだ。日本と同じ様に、いや、日本以上に、ビートルズのファンは、どこにでも、至るところに、いる。その、ビートルズ・ファン達は、お互い、共に、ビートルズのファン同士なのだと、わかった瞬間に、みな、友達になり、長年の親友の様に、心を開き合って、語り合う事が出来る。僕は、その体験を、これまで、アメリカで、何十回して来たか、わからない。
ね?感動出来る話じゃないか?
根が単純な僕は、その、数々の体験を思い出しながら、こうして、書いているだけで、喜びでいっぱいになる。ビートルズって、素晴らしい。やっぱり、素晴らしい。
ちなみに、僕のポケットには、職場でも、個人生活でも、いつも、ハーモニカが入っていて、時折、“Love Me Do”などを、その場その時に、周囲に居合わせた人達に吹いて聴かせると、場が盛り上がって、ウケる。ビートルズは、いい……You know what I mean?
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